ピンピンコロリと死にたい。

ピンピンコロリと死ぬため(生きるため)の経過報告。

#4 川端康成の雪国

■読書

雪国
川端 康成(著)
感想は小ネタで。

雪国 (新潮文庫)

雪国 (新潮文庫)

 

 

■資産運用

対基準額:0.5%
上昇傾向。

 

■運動

・筋トレ
・水泳500m
老人たちの水泳力にはいつも驚かされる。

 

■小ネタ

前回紹介した斎藤氏の本に影響を受け、雪国を読んだ。
冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は有名な一文だが、その先の話を知る人はそこまで多くないのではないだろうか。一言で言ってしまうと、男と女の話である。

あらすじ:
無為徒食の男、島村は三度雪国の温泉に訪れる。
初回は新緑の季節、山歩きの後。三味線と踊の師匠の娘、駒子と親しくなる。
二度目は冬。駒子に会いに行くも、旅の車中で出会った葉子が気になっていた。
駒子は芸者となっており、師匠の息子・行男のために療養費を稼ぐも、その季節に亡くなってしまう。
三度目は秋。しがらみのなくなった駒子は島村に情熱を傾ける。
一方島村はついに葉子と接触するのであった。

登場人物の心理描写、雪国の風景を思い浮かべながら読んだら読了までに時間がかかってしまった。
難しい考察はできないので、印象に残った描写を紹介するにとどめる。


駒子の「一番古い日記の一番初め」には、東京に売られていく駒子を行男が一人で見送ってくれたことが書いてある。
二度目の雪国滞在を終え、島村を駅で見送る駒子に行男が危篤だという連絡が入る。
しかし、駒子はかたくなに帰ろうとしない。駒子を説得するために島村に言う。

 

「君が東京に売られて行く時、ただ一人見送ってくれた人じゃないか。一番古い日記の、一番初めに書いてある、その人の最後を見送らんという法があるか。その人の命の一番終りのペエジに、君を書きに行くんだ」

 

まさに声に出して読みたい日本語であり、背景を知らないでも聞くだけで心震わすセリフであり、人のひたむきな気持ち、そういう純粋さで人を揺らがせる、響きのある表現であった。

作中ではないが、文庫版の解説で澤野久雄氏が川端康成の経歴について紹介している。
その際に「生命の燃焼」という表現を使用している。
おおと思った。燃焼といえば科学用語だが、だからこそ生命の燃え方をよく想像できる。
素晴らしい。拍手喝采

作品全体を通して、正直よくわからないところはあった。
だがそれは登場人物の心理描写であり、現実世界の隣人が何を考えているかわからないのだから、当然といえば当然なことだ。
そういうわからない、という経験をさせてくれる、考えられるような濃厚な時間を過ごすことができた。
本書が長く読まれている理由が少しだけわかった気がする。

ノーベル文学賞作家の作品に触れ、多少なりとも人として深みが出ただろうか。
これを機にしばらくは文学に触れていこうと思う。